肉を柔らかくするには?

肉を柔らかくするには?

肉を柔らかくするには、いくつかの方法があります。

 

手段により異なる効果が得られます。
たとえば、筋切りなどは「物理的に柔らかくする方法」に分類されますし、マリナードなどは「化学的に柔らかくする方法」に分類されます。

 

ここでは、仕組みを整理していきます。

 

  • 物理的:スジの除去及び筋切りや切り方など
  • 化学的:酸性pHや酵素を使用するなど

 

肉は、3種類の蛋白質により構成されます。
それが、筋原線維蛋白質(筋繊維)、肉基質蛋白質(結合組織及びコラーゲン)、筋形質蛋白質(色素蛋白質や酵素など)です。

 

肉を柔らかくするには、主に筋繊維と結合組織を処理します。

 

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筋切りや切り方は?

肉は、繊維を断ち切るように切り分けます。

 

肉には、繊維方向があります。
これは、肉が「筋繊維の束」であるためであり、結合組織(筋膜)が筋繊維の束を覆ってまとめているような構造をしているためです。

 

そのため、肉の下ごしらえは繊維方向を確認しながらおこないます。

 

  • 筋繊維を短く切り分ける
  • 結合組織を断ち切る

 

特に豚肉には注意が必要です。
豚肉は他の肉類と比べて「肉基質蛋白質(結合組織)が多い」という特徴を持ちますので、下処理が不十分であると縮みやすい肉であると言えます。

 

そのため、多くの豚肉レシピには「スジ切り」の一手間が加えられています。

 

内部URL:僕のお弁当。「肉を筋切りする理由は?

 

鶏もも肉も縮みやすい部位です。これは、鶏もも肉にも結合組織(スジ)が多いという特徴があるためです。そのため、鶏もも肉の下処理では「スジを取り除く」「包丁の刃物でたたくように切り込みを入れる」「スジ切り器を用いて全体をたたいておく」などの処理が行われます。

 

加熱の程度は?

蛋白質は、加熱により固くなります。

 

基本的に、肉は加熱調理されます。
肉の加熱調理とは「蛋白質を熱変性させること」であり、熱を加えることで規則正しい立体構造をしていた蛋白質に「会合(蛋白質が寄り集まること)」が起こります。

 

この程度が大きいほど、肉が縮んで水分を失うことになります。

 

肉は、75℃ほどで火が通ります。
温度計を挿してハンバーグなどの焼き上がりを確認する場合も「75℃」が目安とされ、75℃に達していれば食中毒のリスクはゼロに近くなります。

 

それ以上に火を通しても、肉が固くなるだけです。

 

ちなみに、これは筋原線維蛋白質に対する反応です。
筋原線維蛋白質(筋繊維)は火を通し過ぎることで固くなりますが、肉基質蛋白質(結合組織)は長時間の加熱により柔らかくなります。

 

これは、結合組織のコラーゲン化が起こるためです。

 

マリナードで柔らかくなる?

肉は、マリネすることで柔らかくなります。

 

マリナードは、pH3.7程度の酸性です。
肉には、水素イオン指数がpH5以下になると「繊維間が押し広げられて保水性が高まる」という性質があり、締まっていた肉が緩むことになります。

 

また、酸性pHは蛋白質分解酵素の働きを活発にします。

 

蛋白質は、酵素により分解されます。
蛋白質分解酵素(酸性プロテアーゼ)には「pH3~4付近で活発になる」という特徴がありますので、マリナードによって自己消化が起こりやすくなります。

 

その他には、コラーゲンが膨潤することにより「ゼラチン化が早まる」という効果もあります。

 

外部URL:J-STAGE「肉の熟成について

 

固くなりがちな肉(鶏胸肉など)は、マヨネーズをからめて一晩ほど寝かせておくと驚くほどに柔らかくなります。これは、マヨネーズは腐敗を防ぐために水素イオン指数がpH4.0以下にコントロールされているためであり、開いた鶏胸肉100gに対して小さじ1程度のマヨネーズをからめておくだけでも驚くほどに柔らかくなります。

 

蛋白質分解酵素で柔らかくなる?

酵素には、肉を柔らかくするものがあります。
これは蛋白質分解酵素(プロテアーゼ)の働きによるものであり、パイナップルやパパイヤなどのフルーツの他、味噌などにも含まれます。

 

蛋白質分解酵素は、蛋白質を分解することで肉を柔らかくします。

 

肉が固くなる原因は、蛋白質の熱変性です。
しかし、蛋白質分解酵素によって一部の蛋白質が分解されていると「熱変性(熱凝固)が緩やかにしか起こらなくなる」ことからも仕上がりが柔らかくなります。

 

注意点としては、非加熱であることです。
蛋白質分解酵素(プロテアーゼ)には、「37℃前後で活性化して75℃以上で失活します」ので、加熱してしまうと効果が失われてしまいます。

 

そのため、多くは漬け込むことで利用されます。

 

内部URL:僕のお弁当。「鶏胸肉の味噌漬けの作り方は?

 

結合組織のコラーゲン化とは?

肉を柔らかくする方法は、部位により異なります。

 

肉は3種類の蛋白質により構成されます。
それが、筋繊維である筋原線維蛋白質、結合組織である肉基質蛋白質、色素蛋白質や酵素である筋形質蛋白質です。

 

  • 筋繊維:加熱により固くなる
  • 結合組織:長時間の加熱によりゼラチン化する
  • 色素蛋白質や酵素など:アクになる
  •  

    ポイントは、結合組織の比率です。
    たとえば、結合組織の少ない肉は長時間加熱しても固くなるだけですが、結合組織の多い肉は長時間加熱することでトロトロになります。

     

    これは、結合組織(コラーゲン繊維など)がゼラチン化してゼリー状になるためです。

     

    スジ肉を想像してみてください。
    短時間の加熱では固くなってしまうスジ肉は、長時間(もそくは圧力をかけて)煮込むことでトロトロのゼリー状に変化しますよね?

     

    これは、スジ肉の大半を占めるスジ(コラーゲン繊維)がゼラチン化するためです。

     

    煮込み料理に使用するのは「肉基質蛋白質(結合組織)の多い部位」がおすすめです。結合組織の多い部位はゼラチン化によりトロトロになりますが、結合組織の少ない部位は筋原線維蛋白質(筋繊維)が熱凝固して固くパサパサした肉になるだけです。

     

    肉を柔らかくするには、「物理的に柔らかくする方法」と「化学的に柔らかくする方法」があります。スジ切りなどは典型的な物理的な方法であり、水素イオン指数の利用(マリナードなど)は典型的な化学的な方法です。また、肉を構成する蛋白質の種類(割合)によっては「長時間の加熱により固くなる肉」と「長時間の加熱により柔らかくなる肉」に分かれることもあります。

     

    外部URL:Amazon「下村工業 筋切り器

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